人生の底で「それでも頑張れ」と言ってくれた人

「人生最大に辛い日」は、それぞれの心の奥にあるもの。それはこれから先、また更新されてしまうことがあるかもしれませんが、今の時点で私にも、「もう二度とあんな思いはしたくない」と、振り返る時期があります。
 

拭えない不安と、止まらない涙

私は、会社員を経て独立起業をしているのですが、思うようにいかないことがたくさんあります。特に独立して最初の5年くらいは、精神的にも追い詰められていたように思います。

反発もある中で、自分で決めた道です。
仕事、お金、これからの生活。
目に見えない不安に押しつぶされそうになりながら、それでも、目の前の仕事をこなすしかありませんでした。

もともと簡単に弱音を吐ける性格でもなく、なんとか自分を鼓舞して必死に食らいついていた時期です。そんなとき、追い打ちをかけるような出来事が起きました。
長年心から信頼していた人たちからの、予期せぬ言葉と態度です。

「あなたはどうせうまくいかない」
「きっと失敗して出戻るはずだ」
「その道は、間違いだ」

そんな言葉たちでした。

お互い応援し合っていると思っていたので驚いたのはもちろんですが、当時の私には、それを跳ね返せるほどの結果も、自信もありませんでした。

中には同じような道を志していた人もいて、その人が止める決断をしたタイミングでもありました。だからこその言葉だったのだとは思います。それでも励まそうとした私に返ってきたのは、「まだ頑張らないといけないの?」という力ない言葉。

そこで私の糸は、ぷつりと切れてしまいました。
 

眠れない夜

全てを否定され裏切られたような絶望感でいっぱいになり、信頼していた人の心が離れていく感覚、信じていた場所が足元から崩れていくような感覚になりました。そこからしばらく、元々抱えている不安はより大きくハッキリと存在感を増し、不眠症のような症状が続きました。

「どうせダメなんじゃないか」
「私も早く引き返さないと、取り返しがつかないことになるんじゃないか」
「なんで突然あんなふうに言われなきゃならないんだ…!」

夜になるとやり場のない怒りと悲しさで眠れなくなり、外が明るくなってからようやく浅い眠りにつく。遅れ遅れの仕事を、コーヒーで眠気と頭痛をごまかしながらなこなし、そしてまた眠れない夜がやってくる。

そんな日が続いていました。
 

期待していた言葉、届いた言葉

どん底にいた私を救ってくれたのは、長年お世話になっている、とある信頼できる方です。ひとしきり号泣しながら、溜め込んでいた思いを吐き出しました。

「もう、私もダメかもしれない」
「別の道を探さないと、手遅れになるかもしれない」

と、弱音を吐いたのです。

心のどこかで、「もう頑張らなくていいよ」という言葉を期待していたのだと思います。許可をもらって、楽になりたかった。
けれど、返ってきたのは予想外の言葉でした。

「それでも、頑張れ」
「今引き返したら絶対にだめ。うまくいくのは、続けた先にしかないから」
 

「頑張れ」に込められた勇気

もしあのとき、「もう頑張らなくていいよ」と言われていたら。

今の私は、いなかったと思います。

明らかに余裕がなく精神状態が不安定な私に、「それでも、頑張れ」という言葉をかけるということ。どれだけ勇気がいることだったろうと、今となっては思います。

でもそれは、私自身の可能性を、私以上に信じてくれていたからこその言葉。

この言葉をくれた方には今もお世話になっていますが、この時のような「頑張れ」は、最近は言われません。むしろ「がんばってもがんばらなくても、たいして結果は変わらないから〜」と笑って言われるほどです。
 

「頑張れ」は、ときに人を追い詰める言葉になります。
でも、
“あなたならできる”
という深い信頼が込められていることもある。
あのときの私は、
その言葉に救われました。

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